人気ブログランキング | 話題のタグを見る
TAMA CINEMA FORUM
多摩映画祭行って来ました。もちろん一番のお目当てはヴェンダース監督です。
ヴェンダースで思い出したのが、昨日の記事で書いたchinaのちびっ子の排泄。
もろに出てくるのを目撃したのはヴェンダース監督の「さすらい」って映画以来なんだなあ・・・

TAMA CINEMA FORUM_c0061299_20462445.jpg


パリ・テキサスを劇場で見ることができました!

観るのも4回目となると細かい演出が気になってくる。
例えばこの映画で、何気ない場面の背景に何台かのトレーラーがクラクションを鳴らしながら走っているとこがある。まあそこは車借りてきて走らせればいいのだけど、電車だとそうもいかないのでは?
トラヴィスとウォルトがドライブしていて踏み切りに引っかかる場面とか、モーテルでトラヴィスがいなくなったことに気付いてウォルトが車で探しに行く場面とか、下っ端が電車のダイヤとか調べてタイミングとってやってるんだろうなあ、と思わせる。

最近映画の最初と最後がどのようなシーンか、ということに興味があるのだが、パリ・テキサスの場合は、広大なモハーヴィ砂漠とそこを歩くトラヴィスというシーンで始まる。
TAMA CINEMA FORUM_c0061299_20584169.jpg
ここでトラヴィスのファッションが秀逸、このひげ面とキャップ!最高だ。そして彼の姿勢の良さと早足で歩くところが必見だ。
なぜこの男はこんな格好で砂漠をふらふらしているのか?と引き込まれる。

TAMA CINEMA FORUM_c0061299_21263560.jpg
ラストはトラヴィスがジェーンとハンターを残して去っていく場面だ。
ここで何故トラヴィスは去らなければならなかったのか、未だに自分の中で答えは出ていない。
息子のハンターとは心通うようになり、ハンターは育ての親を置きざりにしてまでトラヴィスに付いて行こうとした。
TAMA CINEMA FORUM_c0061299_21262670.jpgジェーンとの間にはいろいろ傷があるものの、トラヴィスは彼女を愛しているし、彼女を探し出し、「店の外でも客と会うのか」と問いただして、彼女が清潔な生活をしていることも確認している。失踪する前の自分の気持ちも全てジェーンに告げたし、当時母親失格の烙印を押した彼女に最愛の息子ハンターを任せることにも決めた。TAMA CINEMA FORUM_c0061299_2126162.jpgこれはトラヴィスからジェーンへの信頼の証だと思うのだが、ここでトラヴィスはなぜ昔のように彼女らと共に暮らせなかったのか。

しかし仮にこの映画が「3人で幸せになりました」という結末だったら、俺は好きにならなかったと思うけれど。


スクリーンで見るのは良かった。マジックミラー越しの会話のシーンはもちろん、最後の車のシーンでのトラヴィスの涙もはっきりと見た。

TAMA CINEMA FORUM_c0061299_21264136.jpg




アンドレイ・タルコフスキー監督。
観たい観たいと思っていてやっと観ることができました。
最初の感想はものすごく映画を作りこむ人だな、というもの。
これが遺作だそうで、初期はどんな感じなのだろう。

本当にワンシーンワンカットきめ細かくて、構成力に驚愕します。
ストーリーはよく解らなかったので復習しました。

TAMA CINEMA FORUM_c0061299_21553818.jpgアレクサンデルが小さな息子と松の枯れ木を植えるシーンからスタート。息子は喉の手術をして今は声が出ません。そんな息子に、アレクサンデルは「枯れ木でも毎日世話すれば元気になる、目的に向かって努力すれば何でもなせる」とか独白している。長回しで彼の独白が続きます。ロケ地が海辺に草原が拡がるとても美しいところで、どこかと思って調べたらスウェーデンの島だそうだ。


その後は主にアレクサンデルの家を舞台に不穏な雰囲気の中物語は進む。ワンカットが長く、まるで演劇みたいだ。部屋は薄暗く、外も北欧特有の白夜で薄暗い。
ストーリーが展開するのは、核戦争の非常事態発生というニュースが流れてから。家族は混乱し、無心論者だったアレクサンデルは神に祈り始める。「私の持てるものすべてを犠牲にささげますから、愛する人々を救ってください、家も、家族も、子供も、言葉も、すベてを捨てます」と。
翌朝彼は家に火を放つのだった。

混乱する大人をよそに小さな息子は、一生懸命バケツを運んで枯れ木に水をやっている。
そんな美しいラストだ。

TAMA CINEMA FORUM_c0061299_21494363.jpg

by mooonriders | 2006-11-19 21:31 | movie
<< 泉州 アモイ >>