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フィンランド映画4点盛り
今日は予定通り劇場で4本観てきた。
雨が降っていて、家を出るときから雨が降っていたのだけれど、なんとなく傘を持たずに出たら、結局ずっと降り続いたのでなんだか濡れてしまったよ、でも雨に濡れるのは嫌いではない。
新作「街のあかり」の予告も3度観たが、もう一度みたくなってきた。
これはみんなに観てほしいな。

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アキ・カウリスマキ監督作品「ラヴィ・ド・ボエーム」
1992年の作品。

企画から15年、アンリ・ミュルジェールの小説「ボヘミアンの生活の情景」を原作に50年代から80年代のいつか、という寓話的な設定に変え、パリで撮り上げた念願の作品。戯曲が出版社に取り合ってもらえない作家のマルセルは、金がなく家賃滞納でアパルトマンの退去命令が出ていた。レストランでアルバニア人の画家ロドルフォと出会い、2人で部屋に帰ってくると、そこには次の住人、音楽家のショナールがピアノを持ち込み弾いていた。貧しい芸術家3人が出会って結んだ友情、仕事、恋を、アキは静かに、叙情を込めて描き上げる。特に後半、幸福なピクニックのシーンと、一転して訪れるロドルフォの恋の結末は胸を締め付けずにおかない。ベルリン国際映画祭批評家賞受賞。

貧乏な芸術家3人のどうしようもない暮らし、作家と作曲家は単なる自称なのではないか?まあ画家のロドルフォはなかなか絵が上手で、ジャン=ピエール・レオーに売ったりするのだが、その金で彼女と食事に行く途中に財布を盗まれるありさま。貧乏に対峙する男と女の違いもよく書かれている。男はどこか貧乏に夢を描けるようなとこがあるよな。お金がなくて侘びしい感じがなぜか美しい。暖炉の火をつける燃料がなくて、ロドルフォは自分の書きためた詩まで燃やすのだが、耐えられずミミは出て行ってしまうし。でもミミは戻ってきた。本当に好きだったら貧乏は関係ない!そして最後ミミのために自分の大切なものを売り払ってお金を作る3人の貧乏芸術家がかっこいい。双頭の鱒を食ったりと、監督のブラックユーモアも冴えまくる。★★★★


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アキ・カウリスマキ監督作品「コントラクト・キラー」
1990年。

ジャン=ピエール・レオーを主役に迎えたアキが、「イーリング・コメディ」のスタイルを取り入れつつ、スタジオではなくロンドン・ロケに挑んだ作品。フランスに居場所をなくし、ロンドンの水道局で働くアンリは、ある日突然解雇を言い渡され、絶望して自殺を図るが失敗してしまう。新聞記事で「契約殺人」(コントラクト・キラー)の存在を知った彼は、自らの殺しを依頼。だがその直後、花売り娘マーガレットと初めての恋に落ち、アンリは殺し屋から逃げ続けるハメになる。アキが生涯のベストに挙げる『肉体の冠』(ジャック・ベッケル監督)のセルジュ・レジアニも出演するなど、過去の映画への敬意と愛情が満ち溢れている。ヴェネチア国際映画祭出品。

主人公は無口で友達もいない孤独で真面目な男。フランス人という理由からリストラされてしまう。パブで酒と煙草を覚え、酔った勢いで花売り娘に話し掛け、恋に落ち、殺しの契約を解除しようとしたが、「契約殺人」の人々との密会場であったパブに行くとそこは取り壊されていて契約解除できない、ってとこがおもしろい。俺が好きな感じのギャグ満載、結構わかりやすくて楽しめる映画だと思う。ジョー・ストラマー出演。★★★☆


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アキ・カウリスマキ監督作品「愛しのタチアナ」
1994年の作品。

『マッチ工場の少女』以来久々にフィンランドで撮られ、常連キャストが顔を揃えた愛すべき小品。母親に煙草を吸っては叱られ、コーヒーが切れていても「明日」とすげなくされる仕立屋のヴァルト。カッとなってクローゼットに母親を閉じ込め金を持ち出した彼は、修理した車の試運転に修理工のレイノを乗せ、道すがらバーへ向かう。店の前で立ち往生していたバスの乗客、ロシア女性クラウディア、エストニア女性タチアナに「港まで送ってほしい」と声を掛けられた彼らは、この願いを引き受けた。数日にわたる車での旅は、無口な男たちと、彼らを呆れながらも微笑ましく見つめる女たちの距離を、ゆっくり近づけていく。カンヌ国際映画祭監督週間・京都国際映画祭出品。

これは素晴らしい映画。ヴァルトはコーヒー中毒でコーヒーを切らした母にキレてクローゼットに閉じ込めて旅に出るってのが笑える。最後帰宅してクローゼットを開けて母を解放してたし。レイノとのコンビは本当に無口で、とりあえず煙草を吸いまくってヴァルトはコーヒー、レイノはウォッカを飲みまくっている。車内にもコーヒーメーカーがあるし。レイノはウォッカを一気飲みだし。女性二人が旅に同行することになっても全然しゃべらない。こいつらは俺より愛想が悪くて俺より無口だ。唯一饒舌になったのは、工具の店のショーウィンドウに夢中になっているとき。しかし中途半端な自分と違って、ここまで突き詰められると逆にかわいらしい。そんな2人に対して女性2人もなんとなく好意を持ちはじめ、別れがたくなっているんだよなあ。分かるなあ。夜タチアナの肩にレイノが手を回すところが唯一のラブシーン。素敵だ。★★★★☆


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アキ・カウリスマキ監督作品「カラマリ・ユニオン」
1985年の映画。

「イカ墨同盟」(カラマリ・ユニオン)の15人の仲間たちが町を出て、町の反対側にあるという希望の地、エイラへと向かおうと決起する。15人の名がすべてフランクだったり、深夜に無人の地下鉄を強奪して駅に着いたとたん、1人が車掌に殺されたりと、謎だらけのまま事態は唐突に展開する。遊び心とユーモア、毒気が交じり合い、かなり人を食ったこの第2作では、デビュー作とはまた違ったもう一つのアキの側面「真面目な顔で冗談を言う」資質が存分に発揮されている。なお、後のレニングラード・カウボーイズのメンバー、サッケ、マト、サカリもフランクとして登場し、劇中ではその演奏も披露している。

ノリ的にはレニングラード・カウボーイズのシリーズとそっくりな映画。全員サングラスでフランクっていう名前で。駅まで皆で来て別れてそれぞれの方法でエイラに向かうのだが、街のそこらでフランク同士が遭遇してハプニングが起こって、エイラへの旅は一行に進んでいるとは思えない。とにかくユーモア満載でやりたい放題で、笑える映画なんだけど、4本目でうとうとしてしまった。休憩中にフレッシュネスでビール飲んでから観ればよかった。それにしてもこの映画に出てるフィンランドの俳優たちがかっこいい。★★★☆
by mooonriders | 2007-06-24 23:08 | movie
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